カレーというと日本食と言ってもいいくらい日本人には馴染みの深い料理ですよね。
アレンジも豊富で数え上げたらキリがないくらい・・・
そんな数あるアレンジの中から全国に知られるようになったスープカレーとは・・・
なぜ北海道発なのか・・・
そこにはどんな背景があるのか・・・
私なりの考察を交えてまとめてみました。
道民のソールフード、スープカレーのルーツ
スープカレーのルーツは1970年代に札幌市内にある喫茶店「アジャンタ」が発売した
薬膳カリィが原型といわれています。
サラサラとした粘り気のないスープ状のカレーで、
発売当初は具なしのスープとライスだけでした。
一日20食の限定で販売したところ口コミで評判となり、
1975年に客からのリクエストを受け出汁を取るためだけに使っていた
チキンレッグを、つづいてニンジン、ピーマンを入れるようになりました。
この料理が現在一般に知られているスープカレーの原型となったのです。
しかしこの時点ではまだスープカレーとは呼ばれていませんでした。
スープカレーと呼ばれるようになったのは、
1993年に札幌市に開店した「マジックスパイス」というお店が
これに似た自身のお店の料理を「スープカレー」と命名したのが最初で、
その後2003年に横濱カレーミュージアムに出店したところ大評判となり、
北海道発のスープカレーが広く全国に知られるようになったのです。
スープカレー誕生の背景にある北海道の洋食文化
スープカレーそのものの誕生については前述のとおりですが、
その背景には北海道に於ける洋食文化の影響があると考えられます。
明治以降欧米文化の積極的な導入によって本格的な開拓が始まった北海道では
全国的に見ても古くからカレーを食していたようです。
明治14年頃の札幌農学校の夕食メニューにライスカレーと記述されていたとの
記録があったり大正9年の札幌師範学校、府立高等女学校の寄宿舎でも
夕食メニューにライスカレーがあったようです。
ライスカレーという呼び方が歴史を感じさせますよね。
更に【日本食生活全集】という昭和初期の食生活を記した文献によると
全国でライスカレーの記録があるのは、東京、大阪、兵庫など8県だけだったという
記述があり北海道におけるライスカレーの普及は極めて早かったと言うことです。
それともう一つ、ソップという食品がありました。
相撲業界では瘦せ型の力士をこう呼ぶようですが、
語源はオランダ語の”soep”つまりスープの事です。
明治から昭和にかけてスープのことを一般にソップと呼んでいたようで、
当時栄養食として病弱の人に需要が多かったと言います。
スープカレーの原型となったアジャンタの薬膳カリィも、
漢方の薬膳スープとインド料理を組み合わせるというアイディアから
生まれたと言われていますから、
全国的に見ても普及の早かったカレーとソップ(スープ)の融合は必然だったのです。
まとめ
スープカレーの原型ができたのは1970年頃、札幌市のアジャンタ店主の考案によるものでした。
スープカレーと命名したのは1993年、札幌市のマジックスパイスというお店でした。
なぜ北海道で誕生したのかということについては、私の調べた限り北海道の洋食文化が
少なからず影響を及ぼしていたのは疑いようのないところであります。
若干こじ付けのような感は否めませんが、スープカレー誕生についての考察でした。
参考文献
北海道の洋食文化に関する研究 (1)(2)
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